「最上の薬」
とはなんでしょうか?
「薬」であれば、7つの叡智の3番目、『3.東洋医学と西洋医学』の範疇です。
ですが、 「最上の薬」は、普通の「薬」ではありません。
文字通り、「最上」ですので、どこの薬局にも売っていません。
実は、病院で処方することはできます。
もっというと医者が処方箋を書くことはできます。
しかし、どこの薬局に行っても置いていません。
つまり、「最上の薬」は、病院で処方箋を書くことはできますが、薬局では決して入手することはできない薬だということです。
何だと思いますか?
「最上の薬」とは、「運動」のことです。
自分で運動するわけですから、薬局で売っておらず、買うこともできない、といわけです。
病院では薬を処方するときに処方箋を書きますが、実は薬だけでなく、リハビリテーションの指示書も処方箋と言います。
処方箋を発行できるのですから、「運動」も「薬」に組み込んで表現しました。
「運動」が体に良い作用を持つことはあまりに有名です。
ですが、「運動」は体に良いだけではなく、「こころ」や「脳」にも良い作用を持つということが最近わかってきました。
医学は急速に進歩していますが、残念ながら現時点では「頭を良くする薬」は存在しません。
しかし、「運動」は頭を良くすることができることが証明されています。
例えば、「子供は運動を多く取り入れることにより、より賢くなり、成績が上がる」ということが証明されました。
そしてこの事実をもとに、アメリカの一部では、すでに学校教育を変えています。
「運動」には大きな利点があります。
それは、「副作用がほぼない」ということです。
もちろん、これは適度な運動の場合です。
過剰な運動はもちろん体の負担となり、副作用が出てきます。
全ての薬には副作用があります。
もちろん、薬によって副作用が大きいものから、少ないものまであります。
薬は何らかの化学物質ですので、希望する効果のほかにも、希望しない効果が、どうしても出てしまいます。
例えば、痛み止めの薬は痛みを減らしますが、胃潰瘍を起こすことがあります。
このように、原則、全ての薬には副作用があります。
しかし、「運動」には、副作用がほとんどありません。
このように「運動」は、「こころ」、「脳」、「体」に良い作用を与え、さらに副作用がほとんどないため、「最上の薬」と言えます。
最近、「ランナー」が増えています。
「マラソン」をする人も急増しています。
「フィットネスジム」に通っている人も多いと思います。
ですが、どのくらいの「運動」が「適切」なのでしょうか?
やり過ぎは体に良くないと思いますが、少ないと効果も少なくなります。
「負荷」
「頻度」
「時間」
「運動強度」
など、重要項目はたくさんあります。
実は、以前であれば、これらの質問に対する答えは、「諸説あり過ぎて、正直よくわからない」、でした。
情報が氾濫し、まさしく「玉石混淆」の状態だったからです。
「個人の資質」も大きく影響します。
有酸素運動は得意だが、無酸素運動は苦手な人。
有酸素運動は苦手だが、無酸素運動は得意な人。
有酸素運動は苦手だし、無酸素運動も苦手な人。
有酸素運動は得意だし、無酸素運動も得意な人。
いろんな人がいます。
仕事や家庭環境なども人それぞれです。
ですが嬉しいことに、最近、これらの質問に対する答えとなる報告が続々と出てきました。
機器の進歩の恩恵もあります。
具体的には、「心拍数計」の進歩です。
「ベストの方法!」と言い切ることは未だできませんが、「多くの人にとって適切」な方法をこれからご紹介していきます。
ここで、1つ、大切なことがあります。
どのような「運動」をするか、ということはもちろん重要です。
ですが、「運動」の方法論より「もっと大切」なことがあります。
そして、そのことは、たいていの本には、書いていません。
書いてあったとしても、残念ながら、適切ではないことが書いてあることが多いようです。
1つの例があります。
通常のマラソンより走行距離の長い、「長距離マラソン」のデータがあります。
1905年に開始された「長距離マラソン」は106.04 km。
1907年に開始された「長距離マラソン」は、209.07 km。
1920年に開始された「長距離マラソン」は、193.33 km。
これらの1~3位までの入賞者に共通点があります。
何だと思いますか?
それは、1~3位までの全員が「穀菜食者」だという事です。
つまり、「ベジタリアン」です。
一見、「肉食者」の方が、高蛋白食となるため、速いような気がします。
もちろん、肉食者は多数参加していました。
しかし、肉食者は一人として表彰台に上がることはできませんでした。
『7つの叡智』をご存じの方であればお分かりのように、肉食よりは野菜・果物を食べる菜食の方が、健康に良いことは既にお分かりのことだと思います。
つまり、普通のマラソンよりもっと過酷な「長距離マラソン」からわかることは、「食事が最も大切だ」ということです。
もちろん、個人の資質や練習も重要です。
しかし、表彰台を独占した全ての人が「ベジタリアン」なのであれば、「食事」がかなり重要な要素であるということに疑いの余地はありません。
ですから、「運動の方法論より食事の方が重要」と言えます。